株式投資と不動産投資は、どちらも“投資”に属する資産運用ですが、投資を行う上で大きく異なる部分があります。また、同時に共通部分もあります。
そこで今回は、株式投資と不動産投資の比較をしてそれぞれの強みや注意点などをまとめていきます。
まず、投資において期待するリターンは2種類あります。それは「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」です。
一般的にインカムゲインとは、資産運用に関して特定の資産を保有することで安定的かつ継続的に受け取ることができる収益のことをいいます。
これに対してキャピタルゲインとは、保有している資産の価格が変動することによって得られる収益のことをいいます。
株式投資と不動産投資は、どちらも「リターン」を得る目的は共通している部分ですが、期待するリターンの「質」は大きく異なっています。
なぜかというと、株式投資は投資した銘柄の株価がどれだけ値上がり変動するかという“価格差”を重視するのに対して、不動産投資は賃貸物件として得られる収益が投資資金の何割を占めるのかという“利回り”を重視するからです。
このことから両者が期待するリターンの質は、株式投資が「キャピタルゲイン」に該当し、不動産投資が「インカムゲイン」に該当すると言えます。
もちろん配当金目的のインカムゲインで株式投資を行う方法もありますが、本質的な部分から期待するリターン別を考えると、キャピタルゲインを期待するなら株式投資、インカムゲインを期待するなら不動産投資という区別に分けることができます。
投資は「リターン=リスク」という法則性が成り立ちます。株式投資と不動産投資はどちらもハイリターンが期待できる投資なため、それに比例してハイリスクでもあります。
そのため、いかに分散投資して「リスクヘッジできるか」というリスク管理面が、投資においては欠かせない項目です。
具体的なリスクを例示すると、株式投資であれば投資先企業の倒産や不祥事、または海外の金融危機などの要因影響を受けて株価が下落することがあります。不動産投資であれば、長期間の空室や地震などの天災によって直接収益に被害が出ることあります。
このようなリスクについては、株式投資では投資する銘柄数を増やして分散投資をすればリスクを小さくすることができます。
また、株式投資は比較的少ない投資額でも始められるので、総投資額100万円だとしても特定の銘柄に依存することなく4~5銘柄への分散投資が可能となります。
その一方で、不動産投資にも分散投資という概念はあるものの、株式投資とは違って数千万円の投資額が必要となるため、複数の収益物件を所有するのは現実的に考えて難しいでしょう。
投資において、危機を感じたときすぐに現金化できるタイミング、つまりは「流動性の高さ」は損失額の大きさと直結することになります。
「流動性の高さ」という点については株式投資が優れており、極端な暴落が起きていない限り買い手は常に存在します。
要するに、株価の下落要因を発見した時や高値掴みした時でも、流動性の高さを利用してしっかり損切りしておくことで大きな損失を回避できるというわけです。
その反面、不動産投資は売却したいタイミングで買い手が現れる可能性が低いので、「流動性が確保されていない」と言えます。
おわりに
株式投資と不動産投資の共通点や違いについてお伝えしましたが、まずはリターン以上に「リスクと隣り合わせ」ということを覚えておきましょう。
そのためには、事前に投資プランの計画を立て、そこから「リスク<リターン」となるようなビジョンが見えてから初めて投資を実行することをお勧めします。